2016-08-24 雪のいと高う降りたるを 雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子参りて、炭櫃に火おこして、物語などして集り候ふに、「少納言よ、香炉峰の雪、いかならむ」と、仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせ給ふ。人々も、「さることは知り、歌などにさへ歌へど、思ひこそよらざりつれ。なほ、この宮の人には、さべきなめり」と言ふ。