2016-08-24から1日間の記事一覧
雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子参りて、炭櫃に火おこして、物語などして集り候ふに、「少納言よ、香炉峰の雪、いかならむ」と、仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせ給ふ。人々も、「さることは知り、歌などにさへ歌へど…
日高く睡り足るも猶お起くるに慵(ものう)し 小閣に衾(ふすま)を重ねて寒さを怕(おそ)れず 遺愛寺の鐘は枕を欹(そばだ)てて聴き 香炉峰の雪は簾を撥(かか)げて看る 匡廬(きょうろ)は便ち是れ名を逃のがるるの地 司馬は仍(な)お老を送るの官たり…